松明は灯火の一種 [社寺・祭礼・芸能]

タケ、マツなどの割り木を手ごろな太さに束ね、その先端に点火し、手に持って照明としたもの。

ほかにカヤ、アシ、苧殻、枯れ葉なども資材とした。

古くは、手に持つ灯火を「秉炬」「手火」と書いてタビと読み、いまもこれをタイといっている地方がある。

のちに「炬火」「焚松」「松明」などと書いてタイマツとよぶようになった。

今日、タイマツと読まれている松明の語は、本来は、脂の多い松材の意で、続松、肥松のこと。

松明には、手に持つもののほか、柱松明といって、儀式などの際に地面に植えて庭上を照明するもの、投松明といって、夜討ちに際して敵陣に投げ込むもの、車松明といって、松明を十文字に組み合わせ、その中央を束ね、三方の先端に火をつけ、敵中に投じて照明とするものなど、いろいろのものがあった。

ほかに松明の占手といって、松明の燃えぐあいで、その日の夜討ちの運勢を占うことなども行われた。

また、民間の習俗としても、清めのために嫁の尻を藁松明でたたくことや、投げた松明が消える、消えないで吉凶を占う松明占などが行われていた。

このように松明は、戸外で用いる灯火として、宮廷・武家の儀式、軍陣、葬送などをはじめ、広く民間でも行われてきたが、今日では、大松明に火をかける松明祭の神事や、社寺の祭礼、芸能の場で、わずかに使用されているにすぎない。
update:2010年02月25日